自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

例規審査事務経験のある地方公務員のブログ。https://twitter.com/hotiak1

カルト規制法

カルト規制法「容易でない」 公明・北側氏 公明党の北側一雄中央幹事会長は15日の記者会見で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる問題を受け、反社会的な宗教団体を対象とする「カルト規制法」制定の必要性を問われ、「議論するのは良いと思うが…

旧統一教会の名称変更問題

橋下徹氏、旧統一教会の名称変更問題を証言した前川喜平氏に疑問「正義の味方みたいになっているけど違法です」 元大阪府知事の橋下徹氏が7日、コメンテーターを務めるフジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」(日曜・午前7時半)に生出演した。 番組…

雑記

御覧いただいている皆様には申し訳ありませんが、諸事情により、しばらくの間、更新頻度が落ちると思います。

あえて「同条」と規定する訳

環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律(令和4年法律第37号) (主務大臣等) 第47条 第39条第1項、同条第4項、第5項、第8項及び第9項(これらの規定を第40条第4項において準用する場合を含む。)、…

柱書きと各号の記載の不整合等

次の規定は、「ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)」の規定である。 (定義) 第2条 この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足…

許可と登録(6)

3 まとめ これまで見てきた許可と登録の規定の違い等について若干のまとめを行い、このシリーズを終了することとしたい。 登録については、許可と比べて行政機関の裁量の余地がないものとされている*1。 許可と登録で一番違いが表れるのは、それを拒否する…

許可と登録(5)

(「(2) 『フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律』の例」の続き) 「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」においても、許可又は登録の基準の一部を省令に委任している(第51条第1号、第29条第1項)。当該委任を受けた省令…

許可と登録(4)

(2) 「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」の例 次に「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(平成13年法律第64号)」を見ることにする。 許可又は登録に関し法律で定める拒否事由についての違いはあるのだろうか。それを…

許可と登録(3)

(「(1) 『使用済自動車の再資源化等に関する法律』の例」の続き) 「使用済自動車の再資源化等に関する法律」は、許可又は登録の基準の一部を省令に委任している(第62条第1項第1号、第45条第1項)。当該委任を受けた省令の規定は、次の「使用済自動車の…

許可と登録(2)

2 許可又は登録を拒否する場合 一般的に許可の場合は、行政庁の裁量が広く、登録の場合は、それが狭いとされているが、具体的にはどのようになっているのだろうか、法令の規定を見ていくことにする。 (1) 「使用済自動車の再資源化等に関する法律」の例 「…

いわゆるAV出演被害防止・救済法について

2022年6月15日、議員提案(衆法)による「性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律」(いわゆるAV出演被害防止…

許可と登録(1)

法令による規制手法の代表例としては、許可を挙げることができる。許可とは、「法令による特定の行為の一般的禁止を公の機関が特定の場合に解除し、適法にこれをすることができるようにする行為をいう」*1。 その他よく用いられる規制手法に登録がある。登録…

執行機関(14)

(3) 出先機関の名称に係る必置規制 法定の出先機関の中には、その名称について規制がなされているものがある。その例としてよく挙げられるのは保健所であり、一般的には保健所は「保健所」という名称を必ず付さなければならないものと考えられている。 しか…

執行機関(13)

(2) 必ずしも条例事項とはされていない出先機関 前回(2022年5月21日付け記事「執行機関(12)」)、松本・逐条の引用部分で触れているが、いわゆる土木事務所は、条例で設置する必要はないとされている*1。 しかし、実際には、土木事務所に一定の許認可権…

執行機関(12)

6 出先機関に関する条例事項 (1) 条例事項とされている出先機関とその考え方 出先機関について法律で条例に委任する事項は、その位置、名称及び管轄区域であることが通例であるが、自治体独自で設置する出先機関にあっては、その所掌事務も併せて定めること…

付記

2022年5月13日付け記事「執行機関(11)」の記事に関連して、特定社会教育機関の制度があることを教示していただいたので、同記事に付記しました。

執行機関(11)

イ 委任・補助執行 長の事務を行政委員会に行わせること、及び行政委員会の事務を長に行わせることについては、地方自治法に次のとおり委任及び補助執行に関する規定がある。 第180条の2 普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務の一部を、当該普通地…

執行機関(10)

(2) 執行機関間における法定の事務分掌の変更 自治体が行う必要のある事務をどの執行機関で執行するかは、原則として法律の規定によって決することになるが、他の執行機関の事務とする方法も存する。 ア 職務権限の特例 特定の事務について、他の執行機関の…

執行機関(9)

5 事務分掌 (1) 各執行機関における事務 ア 原則 自治体が処理する事務については、執行機関ごとに法定されている。ただし、首長が担任する事務について規定する地方自治法第149条の規定は例示規定となっており*1、他の執行機関が処理することができない事…

執行機関(8)

(2) 首長部局以外の執行機関等 首長部局以外の執行機関等で条例事項とされているものは、次のとおりである。 市町村の監査委員に事務局を置く場合の当該事務局(地方自治法第200条第2項) 警視庁及び道府県警察本部の内部組織(警察法第47条第4項) 地方公…

執行機関(7)

b 首長の権限に属する事務を会計部局が行うこととした場合に条例で定めることが必須なのか 前回、首長の権限に属する事務を会計部局が行うこととした場合に条例で当該会計部局について定めている3県の条例の規定を見てみた。 では、首長の権限に属する事務…

執行機関(6)

イ 直近下位の内部組織に当たるか疑義がある組織 (ア) 会計部局 a 会計部局を規定する条例の事例 会計に関する組織は、会計管理者の権限に属する事務を処理するため、規則で定めることとされている*1。そして、会計管理者が会計事務を処理することについては…

執行機関(5)

4 本庁組織における条例事項 (1) 首長部局 ア 内部組織における条例事項 自治体の内部組織については、地方自治法第158条第1項後段で長の直近下位の内部組織の設置及びその分掌事務が条例事項とされている。 地方自治法第158条の規定は平成15年法律第81号…

ミスが顕在化しなかった事例

租税特別措置法施行令等の一部を改正する政令等の一部を改正する政令(令和3年政令第298号) (法人税法施行令等の一部を改正する政令の一部改正) 第3条 法人税法施行令等の一部を改正する政令(令和2年政令第207号)の一部を次のように改正する。 第3…

「……を含む」(下)

(本記事は、2.11付け記事に引き続き掲載する予定にしていたものですが、失念していたので、ここに掲載するものです。) 次の規定は、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行令(以下「政令」という。)」第21条の規定である。 (権限の委任…

執行機関(4)

3 組織例規の原則~組織法定主義 自治体の個々の組織について触れる前に、組織法定主義の考え方について触れておくこととする。 組織に関する事項は、権利義務に関する事項であり、法律事項であるとされている*1。しかし、その全てについて法律で規定するこ…

執行機関(3)

(2) 自治体の執行機関 自治体の執行機関という概念は、議決機関である議会に対して、行政事務を管理執行する機関を表すために地方自治法で設けられた概念である*1。 自治体の執行機関については、地方自治法第180条の5に定めがあるが、地方自治法における行…

執行機関(2)

2 執行機関の概念 (1) 作用法的行政機関概念と事務配分的行政機関概念 自治体の行政委員会の概念は理解が難しいということをよく聞く。これは行政機関の概念が作用法的行政機関概念と事務配分的行政機関概念とが混在していることによるものと思われる。行政…

執行機関(1)

私が職員になった当時は、組織改定は小規模なものを除きほとんど行われていなかったが、法規担当となった時期は、首長が変わったこともあり、頻繁に行われるようになった。そのため、組織に関する法制度については特に留意する必要があったことから、関心が…

本則の規定の失効

銀行法施行規則等の一部を改正する内閣府令(令和2年内閣府令第39号) (銀行法施行規則の一部改正) 第1条 銀行法施行規則(昭和57年大蔵省令第10号)の一部を次のように改正する。 次の表により、改正後欄に掲げるその標記部分に二重傍線を付した項を加…