自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

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許可と登録(3)

(「(1) 『使用済自動車の再資源化等に関する法律』の例」の続き)

 「使用済自動車の再資源化等に関する法律」は、許可又は登録の基準の一部を省令に委任している(第62条第1項第1号、第45条第1項)。当該委任を受けた省令の規定は、次の「使用済自動車の再資源化等に関する法律施行規則(平成14年経済産業省環境省令第7号)」の規定である。

解体業の許可の基準 引取業者の登録の基準
(解体業の許可の基準)
第57条 法第62条第1項第1号の主務省令で定める基準は、次のとおりとする。
(1) 施設に係る基準
イ 使用済自動車又は解体自動車の解体を行う場所(以下「解体作業場」という。)以外の場所で使用済自動車又は解体自動車を保管する場合にあっては、みだりに人が立ち入るのを防止することができる囲いが当該場所の周囲に設けられ、かつ、当該場所の範囲が明確であること。
ロ 解体作業場以外の場所で廃油及び廃液が漏出するおそれのある使用済自動車を保管する場合にあっては、当該場所がイに掲げるもののほか次に掲げる要件を満たすものであること。ただし、保管に先立ち使用済自動車から廃油及び廃液を回収することその他廃油及び廃液の漏出を防止するために必要な措置が講じられることが標準作業書の記載から明らかな場合は、この限りでない。
(一) 廃油及び廃液の地下浸透を防止するため、床面を鉄筋コンクリートで築造することその他これと同等以上の効果を有する措置が講じられていること。
(二) 廃油の事業所からの流出を防止するため、油水分離装置及びこれに接続している排水溝が設けられていること。
ハ 解体作業場以外の場所で使用済自動車から廃油(自動車の燃料に限る。以下このハにおいて同じ。)を回収する場合にあっては、当該場所が次に掲げる要件を満たすものであること。
(一) 廃油の地下浸透を防止するため、床面を鉄筋コンクリートで築造することその他これと同等以上の効果を有する措置が講じられていること。
(二) 廃油の事業所からの流出を防止するため、ためますその他これと同等以上の効果を有する装置(以下「ためます等」という。)及びこれに接続している排水溝が設けられていること。
ニ 次に掲げる要件を満たす解体作業場を有すること。
(一) 使用済自動車から廃油(自動車の燃料を除く。以下この(1)において同じ。)及び廃液を回収することができる装置を有すること。ただし、手作業により使用済自動車から廃油及び廃液が適切かつ確実に回収されることが標準作業書の記載から明らかな場合は、この限りでない。
(二) 廃油及び廃液の地下浸透を防止するため、床面を鉄筋コンクリートで築造することその他これと同等以上の効果を有する措置が講じられていること。
(三) 廃油の事業所からの流出を防止するため、油水分離装置及びこれに接続している排水溝が設けられていること。ただし、解体作業場の構造上廃油が事業所から流出するおそれが少なく、かつ、廃油の事業所からの流出を防止するために必要な措置が講じられることが標準作業書の記載から明らかな場合は、この限りでない。
(四) 雨水等による廃油及び廃液の事業所からの流出を防止するため、屋根、覆いその他床面に雨水等がかからないようにするための設備を有すること。ただし、当該設備の設置が著しく困難であり、かつ、雨水等による廃油及び廃液の事業所からの流出を防止するために十分な処理能力を有する油水分離装置を設けることその他の措置が講じられる場合は、この限りでない。
ホ 解体作業場以外の場所で使用済自動車又は解体自動車から分離した部品のうち廃油及び廃液が漏出するおそれのあるものを保管する場合にあっては、当該場所が次に掲げる要件を満たすものであること。ただし、保管に先立ち当該部品からの廃油及び廃液の漏出を防止するために必要な措置が講じられることが標準作業書の記載から明らかな場合は、この限りでない。
(一) 廃油及び廃液の地下浸透を防止するため、床面を鉄筋コンクリートで築造することその他これと同等以上の効果を有する措置が講じられていること。
(二) 雨水等による廃油及び廃液の事業所からの流出を防止するため、屋根、覆いその他当該部品に雨水等がかからないようにするための設備を有すること。
(2) 解体業許可申請者の能力に係る基準
イ 次に掲げる事項を記載した標準作業書を常備し、従事者に周知していること。
(一) 使用済自動車及び解体自動車の保管の方法
(二) 廃油及び廃液の回収、事業所からの流出の防止及び保管の方法
(三) 使用済自動車又は解体自動車の解体の方法(指定回収物品及び鉛蓄電池等の回収の方法を含む。)
(四) 油水分離装置及びためます等の管理の方法(これらを設置する場合に限る。)
(五) 使用済自動車又は解体自動車の解体に伴って生じる廃棄物(解体自動車及び指定回収物品を除く。)の処理の方法
(六) 使用済自動車又は解体自動車から分離した部品、材料その他の有用なものの保管の方法
(七) 使用済自動車及び解体自動車の運搬の方法
(八) 解体業の用に供する施設の保守点検の方法
(九) 火災予防上の措置
ロ 事業計画書又は収支見積書から判断して、解体業を継続できないことが明らかでないこと。
(引取業者の登録の基準)
第47条 法第45条第1項の主務省令で定める基準は、申請に係る事業所ごとに、使用済自動車に搭載されているエアコンディショナーに冷媒としてフロン類が含まれているかどうかを確認するための適切な方法を記載した書類を有すること又は使用済自動車に搭載されているエアコンディショナーの構造に関し十分な知見を有する者が使用済自動車に搭載されているエアコンディショナーに冷媒としてフロン類が含まれているかどうかを確認できる体制を有することとする。

 許可の場合の方が詳細に基準を定めており、また、第57条第2号ロの「……明らかでないこと」といったように抽象的な概念で裁量の余地がある文言も散見されるところである。