自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

例規審査事務経験のある地方公務員のブログ。https://twitter.com/hotiak1

許可と登録(6)

3 まとめ

 これまで見てきた許可と登録の規定の違い等について若干のまとめを行い、このシリーズを終了することとしたい。

 登録については、許可と比べて行政機関の裁量の余地がないものとされている*1

 許可と登録で一番違いが表れるのは、それを拒否する規定である。つまり、登録の場合は法律に定める拒否事由に該当する場合以外の場合には必ず登録しなければいけないのに対し、許可の場合は法律に定める拒否事由に該当しない場合であっても許可しないという裁量が行政庁にあることである。したがって、登録における拒否事由については、抽象的な用語は避け、できる限り裁量の余地のない定めとすべきということになる。しかし、今回取り上げた法律の規定からは、明確な違いを看取することはできなかった。

 この違いは、実務の取扱い、それから登録制度を許可制度に改めた事例などを見ていくことが必要と思われるが、その点については今後の課題としたい。

*1:大島稔彦『法令起案マニュアル』(247頁)は、登録の本来の意味を考えると、行政機関の裁量の余地がないようにすることが原則とされるべきとする。また、早坂剛『条例立案者のための法制執務』(54頁)は、登録の受理又は拒否について行政庁の裁量を認める必要があれば許可制をとらなければならないとする。