自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

例規審査事務経験のある地方公務員のブログ。https://twitter.com/hotiak1

雑感

相談事項への対応

Xを見ていると、多くの法規担当の皆様が原課等からの相談対応に苦慮されていることがうかがえます。 私自身は、それほど多くの相談を受けたという感覚はないのですが、担当だった頃は世間的には改革派と言われていた首長だった時期であり、「首長にこう言わ…

次条は枝条を指さないのか

会社法第202条第1項第1号の規定にある「次条」が、同法第202条の2ではなく、同法第203条を指していると思われることについて、「次条」という表記は枝条を指さないのかといったツイートを拝見した。 関係する規定は、次のとおりである。 (株主に株式の割…

カルト規制法

カルト規制法「容易でない」 公明・北側氏 公明党の北側一雄中央幹事会長は15日の記者会見で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる問題を受け、反社会的な宗教団体を対象とする「カルト規制法」制定の必要性を問われ、「議論するのは良いと思うが…

旧統一教会の名称変更問題

橋下徹氏、旧統一教会の名称変更問題を証言した前川喜平氏に疑問「正義の味方みたいになっているけど違法です」 元大阪府知事の橋下徹氏が7日、コメンテーターを務めるフジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」(日曜・午前7時半)に生出演した。 番組…

いわゆるAV出演被害防止・救済法について

2022年6月15日、議員提案(衆法)による「性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律」(いわゆるAV出演被害防止…

ミスが顕在化しなかった事例

租税特別措置法施行令等の一部を改正する政令等の一部を改正する政令(令和3年政令第298号) (法人税法施行令等の一部を改正する政令の一部改正) 第3条 法人税法施行令等の一部を改正する政令(令和2年政令第207号)の一部を次のように改正する。 第3…

許可制と届出制

1952年(昭和27年)5月28日の第13回国会衆議院通商産業委員会運輸委員会連合審査会で次のような議論がなされている。 ○關谷委員 航空機製造法案につきまして、本間政務次官にお尋ねをいたしたいと思います。…… この航空機の製造法案を見ておりますと、通産…

おかしな例規(3)

救護施設、更生施設、授産施設及び宿所提供施設の設備及び運営に関する基準及び厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令の一部を改正する省令(令和3年厚生労働省令第80号) (救護…

自治体の組織は何でもありか

ある条例を制定するために学識者会議が置かれ、その提言において施策推進のため「〇〇センター」と称する第三者機関を置き、そこに委員、調査員等を置くことを求める内容があったことがある。 このセンターなる組織の性格は必ずしもはっきりしなかったのだが…

おかしな例規(2)

容器保安規則等の一部を改正する省令(平成30年経済産業省令第61号) (容器保安規則の一部改正) 第1条 容器保安規則(昭和41年通商産業省令第50号)の一部を次のように改正する。 次の表により、改正前欄に掲げる規定の傍線を付した部分は、これに順次対…

法案のミスから思うこと

今国会における法案のミスが大きな話題になっている。その数は、24の法案等について134件であり、そのうち条文等の誤りは3法案1条約の合計12か所で、他は新旧対照表等の参考資料におけるものである。 本件については、次のような報道がなされている。 法案…

おかしな例規(1)

法人企業統計調査規則第八条第一項に規定する調査票の提出期限の特例に関する省令(令和2年財務省令第55号) (提出期限の特例) 第1条 法人企業統計調査規則(昭和45年大蔵省令第48号)第4条第2項に規定する年次別法人企業統計調査のうち、令和元年度下…

文書のチェック~ある雑誌の記載から

『自治実務セミナー(2020年9月)』に次のような文章が掲載されていた。 ……もう少し慣れたら、主語と述語が一致しているかをチェックしてみてください。審議会に関する例規案の中で、「会議は、委員長が招集し、議長となる」という案文をしばしば目にします…

下位例規への経過措置の委任

次の規定は、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(以下「法」という。)」第52条の規定である。 (経過措置) 第52条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断さ…

法定の行政指導

行政指導とは、行政機関が、一定の行政目的を達成するため、法律上の拘束力を有しない手段により、特定の者に一定の作為・不作為を求めることをいい、多くは法律上の根拠なく、当該行政機関の任務ないし所掌事務の範囲内で行われている*1。したがって、一職…

公営住宅

公営住宅制度は、戦後復興期における住宅ストックの量の絶対的な不足の解消を果たすものとして創設され、公営住宅法に基づき、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を住宅困窮者に供給することを目的としてきた*1。元々想定していたのは、所得が低くて、住…

閲覧所

法令には、書類の閲覧について規定が設けられることがある。例えば、次の建設業法の規定である。 建設業法(昭和24年法律第100号) (提出書類の閲覧) 第13条 国土交通大臣又は都道府県知事は、政令の定めるところにより、次に掲げる書類又はこれらの写しを…

職務専念義務

公用メールで送別会の案内、大阪府が職員処分へ 6月に退職した大阪府幹部の送別会について、職員が公用メールで案内状を送っていたことがわかった。同僚から集めた記念品の代金保管も職場でしていた。いずれも内規違反として、府は近く関係者を処分する。 …

審議会の報告書を受け取らないことについて

自治体の附属機関に相当する国の機関は、いわゆる八条機関と言われている審議会等であるが、令和元年6月3日に公表された金融審議会(以下「審議会」という。)の市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」を麻生金融担当大臣が受…