自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

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本則の規定の失効

   銀行法施行規則等の一部を改正する内閣府令(令和2年内閣府令第39号)

 (銀行法施行規則の一部改正)

第1条 銀行法施行規則(昭和57年大蔵省令第10号)の一部を次のように改正する。

  次の表により、改正後欄に掲げるその標記部分に二重傍線を付した項を加える。

  (表略)

信用金庫法施行規則の一部改正)

第2条 信用金庫法施行規則(昭和57年大蔵省令第15号)の一部を次のように改正する。

  次の表により、改正後欄に掲げるその標記部分に二重傍線を付した項を加える。

  (表略)

(協同組合による金融事業に関する法律施行規則の一部改正)

第3条 協同組合による金融事業に関する法律施行規則(平成5年大蔵省令第10号)の一部を次のように改正する。

  次の表により、改正後欄に掲げるその標記部分に二重傍線を付した項を加える。

   附 則

 (施行期日)

1 この府令は、公布の日から施行する。

 (この府令の失効)

2 この府令は、令和2年9月30日限り、その効力を失う。

 この命令は令和2年4月30日に公布されているが、各条で改正している命令のいずれについても法律が委任している電子決済等代行業に該当しない行為を定める規定を追加するものである。そのうち第1条の規定は、銀行法施行規則第1条の3の3の規定に第2項を追加するものであるが、改正後の同条の規定は、次のとおりである。

 (電子決済等代行業に該当しない行為)

第1条の3の3 法第2条第17項に規定する内閣府令で定める行為は、同項第1号に掲げる行為であつて、次に掲げるものとする。ただし、預金者(法第2条第17項第1号に規定する預金者をいう。以下この条、次条、第34条の64の9第3項第1号及び第34条の64の11において同じ。)から当該預金者に係る識別符号等(銀行が、電子情報処理組織を利用して行う役務の提供に際し、その役務の提供を受ける者を他の者と区別して識別するために用いる符号その他の情報をいう。第34条の64の9第4項第5号において同じ。)を取得して行うものを除く。

 (1)~(4) (略)

2 法第2条第17項に規定する内閣府令で定める行為は、同項第2号に掲げる行為(法第52条の61の2の登録を受けた電子決済等代行業者の行為に限る。)であつて、次の各号のいずれにも該当するものとする。

 (1)~(4) (略)

 令和2年内閣府令第39号附則第2項は、「この府令は、令和2年9月30日限り、その効力を失う」としているので、追加された銀行法施行規則第1条の3の3第2項を令和2年9月30日限りで失効させるという意図なのだろう*1

 令和2年内閣府令第39号附則第2項の書き方の適否を別にすると、おもしろい立法技術とは思うが、本則に失効している規定が残っているのは、はなはだ分かりにくい。

 本則に追加する規定を令和2年9月30日限りで失効させるのであれば、その規定を削る改正規定を重ねて置いて、当該改正規定の施行期日を令和2年10月1日とすることになるのだろうが、普通は原始附則に特例規定を追加するべきだったのだろう。

*1:e-GOV法令検索には、銀行法施行規則第1条の3の3第2項の規定はまだ掲載されているが、効力を失っているということなのだろう。