自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

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各号の書き方が適当ではないと思われる例

 次の規定は、「個人情報の保護に関する法律施行令等の一部を改正する等の政令(令和3年政令第292号)」第1条の規定により追加された「個人情報の保護に関する法律施行令」第21条の規定である。

 (開示請求における本人確認手続等)

第21条 開示請求をする者は、行政機関の長等(法第124条の規定により委任を受けた職員があるときは、当該職員。以下この条及び第24条第1項において同じ。)に対し、次の各号に掲げる書類のいずれかを提示し、又は提出しなければならない。

 (1) 開示請求書に記載されている開示請求をする者の氏名及び住所又は居所と同一の氏名及び住所又は居所が記載されている運転免許証、健康保険の被保険者証、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第2条第7項に規定する個人番号カード、出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)第19条の3に規定する在留カード、日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成3年法律第71号)第7条第1項に規定する特別永住者証明書その他法律又はこれに基づく命令の規定により交付された書類であって、当該開示請求をする者が本人であることを確認するに足りるもの

 (2) 前号に掲げる書類をやむを得ない理由により提示し、又は提出することができない場合にあっては、当該開示請求をする者が本人であることを確認するため行政機関の長等が適当と認める書類

2~5 (略)

 第21条第1項柱書きは、「次の各号に掲げるいずれか」となっているが、同項第2号は、同項第1号の書類の提示等ができない場合の規定であるから、この表記は適切ではないだろう。普通であれば、第2号は別項で書くのだろうが、そうすると、第1号は柱書きで書くことになり、ぐちゃぐちゃになるため、それを避けたのかもしれない*1

 各号をそのままにするのであれば、柱書きは次のようにすべきだろう。

 開示請求をする者は、行政機関の長等……に対し、第1号に掲げる書類(当該書類をやむを得ない理由により提示し、又は提出することができない場合にあっては、第2号に掲げる書類)を提示し、又は提出しなければならない。

 この場合には、第2号の「前号に掲げる書類をやむを得ない理由により提示し、又は提出することができない場合にあっては、」の部分は当然削ることになる。

*1:「運転免許証……交付された書類」の部分を項目ごとに号で書き、その他の部分は柱書きに持っていくのであれば、ある程度解決するとは思う。