自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

例規審査事務経験のある地方公務員のブログ。https://twitter.com/hotiak1

一部改正例規を改正する例規の立案等~改正規定の特定を中心として(11)

  エ 事例4

 施行期日を書き分けたときに、「○○に係る部分」という特定をしている例をさらに取り上げてみる。

   化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律(平成7年法律第65号)

第45条 次の各号の一に該当する者は、30万円以下の罰金に処する。

 (1) 第7条第2項、第17条第1項、第18条第2項、第21条、第23条、第24条第2項から第4項まで若しくは第25条(これらの規定を第26条又は第27条において準用する場合を含む。)、第28条、第29条又は第31条第4項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

 (2) 第16条第2項、第17条第4項又は第31条第3項の規定に違反した者

 (3)~(7) (略)

 (8) 第32条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

 (9)・(10) (略)

   附 則

 (施行期日)

第1条 この法律は、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、それぞれ当該各号に定める日から施行する。

 (1)  (略)

 (2) 第2条第8項、……第32条第2項及び第3項、……第45条第1号(第24条第2項から第4項まで及び第25条(これらの規定を第26条又は第27条において準用する場合を含む。)並びに第31条第4項に係る部分に限る。)、第45条第2号(第31条第3項に係る部分に限る。)並びに第45条第5号から第7号まで及び第8号(第32条第1項に係る部分を除く。)並びに附則第3条並びに第4条第2項並びに第3項及び第4項(第2項に係る部分に限る。)の規定 発効日

 この法律の施行期日は、平成7年政令第191号により平成7年5月5日であり、附則第1条第2号に規定する規定の施行期日は、平成9年4月29日である。

 上記の例で、第45条第8号の部分を取り上げると、第32条は3項から成るのであるが、そのうち平成9年4月29日施行は第2項及び第3項であるから、罰則もこれらの規定に限って同日施行とする必要があるので、「第32条第1項に係る部分を除く」という表現になっている。

 なお、「○○に係る部分」という表現は、次のように「○○に関する部分」とする場合もあるようである。

   在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律(平成14年法律第7号)

   附 則

 この法律は、平成14年4月1日から施行する。ただし、別表第1及び別表第2の改正規定中在東チモール日本国大使館に関する部分は東チモールの国家承認の日以後において政令で定める日から、国連連合教育科学文化機関日本政府代表部に関する部分は政令で定める日から施行する。