自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

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一部改正例規を改正する例規の立案等~改正規定の特定を中心として(14)

  ウ 「同改正規定」の表記

 次の「次代の社会を担う子どもの健全な育成を図るための次世代育成支援対策推進法等の一部を改正する法律(平成26年法律第28号)」附則第17条は、一部改正法令を改正した規定である。

 (行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の一部改正)

第17条 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成25年法律第28号)の一部を次のように改正する。

    (略)

  第19条のうち、住民基本台帳法別表第2の5の項の次に次のように加える改正規定(同表の5の7の項に係る部分に限る。)中……に改め、同改正規定(同表の5の8の項に係る部分に限る。)中……に改め、同改正規定(同表の5の9の項に係る部分に限る。)中……に改める。

 上記の規定は、「同改正規定」という文言を2か所用いているが、「同改正規定」とすると、「(同表の5の7の項に係る部分に限る。)」の部分も読み込んでしまうことになるのではないだろうか。

 「同改正規定」とするのであれば、「……改正規定(……に係る部分に限る。)」とはせずに、「……改正規定のうち……中」とすべきではないかと感じる。実際、次の「証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第66号)」第196条のような規定もある。

 (株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律の一部改正)

第196条 株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律(平成十六年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。

  第1条のうち、社債等の振替に関する法律目次の改正規定中……に改め、第6章の次に6章を加える改正規定のうち第226条第1項中……に改め、同改正規定のうち第227条第1項中……に改め、同改正規定のうち第227条第2項中……に改め、同改正規定のうち第228条第1項の表を次のように改める。

 (表略)

 そうすると、上記の平成26年法律第28号附則第17条は、次のようになるだろう。

 (行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の一部改正)

第17条 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成25年法律第28号)の一部を次のように改正する。

    (略)

  第19条のうち、住民基本台帳法別表第2の5の項の次に次のように加える改正規定のうち同表の5の7の項中……に改め、同改正規定のうち同表の5の8の項中……に改め、同改正規定のうち同表の5の9の項中……に改める。

 ただ厳密に考えると、「……改正規定のうちA中」とした場合、「A」は改正規定でなければいけないことになり、そうすると、上記の平成18年法律第66号も平成26年法律第28号の代替案も適切ではないことになるが、「A」の部分が「規定」でもいいと考えるのであれば、平成26年法律第28号の代替案における表の項も一規定と考えることは可能だろう。その辺りは、割り切りの問題かと思う。