自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

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一部改正例規を改正する例規の立案等~改正規定の特定を中心として(10)

  ウ 事例3

 事例1及び2で取り上げた平成17年法律第81号は、改正規定の一部を特定するのに「○○に係る部分」というやり方をしているが、同様な例として、次の例がある。

   廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成16年法律第40号)

   (略)

 第27条及び第28条を次のように改める。

第27条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

 (1) 第13条の7の規定に違反した者

  (2) 第15条の19第4項又は第19条の10第1項の規定による命令に違反した者

第28条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

 (1) 第8条の2第5項(第9条第2項において準用する場合を含む。)又は第15条の2第5項(第15条の2の5第2項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、一般廃棄物処理施設又は産業廃棄物処理施設を使用した者

  (2) 第15条の19第1項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

 (3) 第21条の2第2項の規定による命令に違反した者

 第32条第1号中「第25条第1項第8号」を「第25条第1項第9号若しくは第10号」に改め、同条第2号中「第26条」の下に「、第27条第2号」を加える。

   (略)

   附 則

 (施行期日)

第1条 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 (1)・(2) (略)

  (3) 目次の改正規定、第3章の2の次に1章を加える改正規定、第18条第1項の改正規定、第19条第1項の改正規定、第19条の10を第19条の11とし、第19条の9の次に1条を加える改正規定、第27条の改正規定、第28条の改正規定(同条第2号に係る部分に限る。)、第32条の改正規定(同条第2号に係る部分に限る。)及び第33条を第34条とし、第32条の次に1条を加える改正規定 公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日

 この改正法の施行期日は、平成16年政令第295号により平成16年10月27日であり、同法附則第1条第3号に掲げる規定の施行期日は、同令により平成17年4月1日である。したがって、改正後の第28条の規定は、平成16年10月27日から平成17年3月31日までの間は、第28条には第2号がないような状態になるわけであるが、これは前回も記載したように、施行期日を書き分ける場合にはよくあることである。ちなみに、附則第1条第3号に掲げる規定の施行期日の方が早い場合には、当然第28条の柱書きも早く動かす必要があるから、同号の規定は「……第28条の改正規定(同条第1号及び第3号に係る部分を除く。)……」とするのであろう。

 また、第32条の改正規定についても、附則第1条第3号では「第32条の改正規定(同条第2号に係る部分に限る。)」としているが、これは「第32条第2号の改正規定」とすることも可能だろう。しかし、改正規定を特定する場合に、項以上の単位でまとめることが合理的であるという考え方もあるため(2021年8月14日付け記事「一部改正例規を改正する例規の立案等~改正規定の特定を中心として(3)」参照)、このような特定のやり方をしているのかもしれない。その場合でも、「第32条の改正規定(同条第2号中「……」を「……」に改める部分に限る。)」となっていれば比較的見慣れた感じになるのだが、この改正法では、第32条第2号の改正部分は1か所しかないので、このような特定の仕方になるのだろう。