3 組織例規の原則~組織法定主義
自治体の個々の組織について触れる前に、組織法定主義の考え方について触れておくこととする。
組織に関する事項は、権利義務に関する事項であり、法律事項であるとされている*1。しかし、その全てについて法律で規定することは非現実的であるが、では内部組織については、どの程度まで法律で定めなければいけないのであろうか。この点について、国の組織についてであるが、佐藤功『行政組織法(新版・増補)』(P92)が参考になるので、引用しておく。
問題は、従来の官制の内容がすべて法律で定められることを要するかにある。そしてこの問題は、すでに憲法の審議に当たって貴族院において詳細に論議された点であった。すなわち沢田牛麿議員の「今度は官制というものが全部法律事項になるのでありますか」という形の質問に対して、金森国務大臣は、憲法の解釈として、省の設置(したがってその所掌事務をも含む)は、1つには憲法自体が法律によって定めるものとしている内閣の組織と密接不可分であること(このことは……、66条1項を74条の「主任の国務大臣」の規定と関連させて解する考え方を示す)、第2には、いかなる行政事務がいかなる省の所掌であるかは「国民との間の意思作用を起すもの」であり、また「国民の権利義務と直接に関連するもの」であることの結果として法律で定めるべきであるが、省の内部組織(職員、その定員をも含む)は法律を要しないが、ただ……国会の尊重という見地から、憲法上は法律を要せず命令で定めうる事項についても法律で定めることとするのが妥当である、ただその場合も行政の機動性の確保という面から法律の委任という方法によって両者の要請を調和しうるであろう、という趣旨を述べたのであった。
国は、現在は官房・局・部の設置及び所掌事務については政令で定めることとしている*2。しかし、昭和58年法律第77号による国家行政組織法改正前は法律事項とされていたが、これは、その事項を政令事項としていた原案を参議院において修正されたことによるものである。
国の組織について、憲法上どこまで法律で定めるべきかについては、国民の権利義務と直接に関連する省の設置のみで足り、省の内部組織(職員、その定員をも含む)は法律を要せず、仮に法律で定めていたとしても、それは政策判断によるということになる。