自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

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地方自治法の規定修正案(8)~第3編第3章

第285条

 市町村及び特別区の事務に関し相互に関連するものを共同処理するための市町村及び特別区の一部事務組合については、市町村又は特別区の共同処理しようとする事務が他の市町村又は特別区の共同処理しようとする事務と同一の種類のものでない場合においても、これを設けることを妨げるものではない。

 「市町村又は特別区の共同処理しようとする事務が他の市町村又は特別区の共同処理しようとする事務と同一の種類のものでない場合」という表現は分かりにくいのだが、松本英昭『新版逐条地方自治法(第4次改訂版)』(P1410)には、次のように記載されている。

 「市町村の共同処理しようとする事務が他の市町村の共同処理しようとする事務と同一の種類のものでない場合」とは、例解するならば、A市、B町、C町、D村、E村で一部事務組合を設置しようとする場合に、関係全市町村で総合的な計画を策定し、A市、B町、C町でごみ処理をし、A市、B町、C町、D村、E村で病院事務を処理し、B町、C町、D村、E村で養護老人ホームを設置し、C町、D村で火葬場を設置するというように、ある共同処理事務について、組合を組織しようとする市町村のうち2以上のものが関係していることは必要ではあるが、全市町村が関係していることは必要ではなく、そのような数種の事務を共同処理する結果、共同処理する事務の全体からみた場合に全市町村が関係している場合を意味するのである。

 第285条の表現からは、上記の解説にあることの全てについて読み取ることは難しいと思うが、要は、一部事務組合の全ての事務について構成市町村の全てが共同処理することとしなくてもいいということであるので、次のように書いた方がまだ分かりやすいと思う。 

 市町村及び特別区の事務に関し相互に関連するものを共同処理するための市町村及び特別区の一部事務組合については、その事務の一部について共同処理しないこととする市町村又は特別区がある場合においても、これを設けることを妨げるものではない。