自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

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地方自治法の規定修正案(1)~第2編第1章

 地方公務員がある意味一番知っていなければいけない法律が地方自治法であるが、古い法律であるため、法制執務的には参考にすべきでない規定も多い。そのような規定のうち主なものを取り上げて、修正案を記してみたい。

第6条第1項

都道府県の廃置分合又は境界変更をしようとするときは、法律でこれを定める。」

 →「都道府県の廃置分合又は境界変更は、法律で定める。」

第7条の2第3項後段

「前条第8項の規定は、この場合にこれを準用する。」

 →4項として「前条第8項の規定は、前項の処分に準用する。この場合において、同条第8項中「前項」とあるのは、「次条第3項」と読み替えるものとする。」

(コメント)

 処分の規定に関しての準用であるから、処分の根拠規定はあえて読み替える必要はないが、告示の根拠規定については読み替えるのが、現在のスタンダードだと思われる。

(参照条文)

   地方自治法

第7条 (略)

②~⑦ (略)

⑧ 第1項、第3項又は第4項の規定による処分は、前項の規定による告示によりその効力を生ずる。

第8条の2第3項

「前項の関係市町村の意見については、当該市町村の議会の議決を経なければならない。」

 →「前項の関係市町村は、同項の意見を述べようとするときは、あらかじめ、当該市町村の議会の議決を経なければならない。」

(参照条文)

   地方自治法

第8条の2 (略)

② 前項の計画を定め又はこれを変更しようとするときは、都道府県知事は、関係市町村、当該都道府県の議会、当該都道府県の区域内の市町村の議会又は長の連合組織その他の関係のある機関及び学識経験を有する者等の意見を聴かなければならない。」

③~⑥ (略)

(修正案参考規定)

   福島復興再生特別措置法(平成24年法律第25号)

 (福島復興再生基本方針の策定等)

第5条 (略)

2~4 (略)

5 福島県知事は、前項の意見を述べようとするときは、あらかじめ、関係市町村長の意見を聴かなければならない。

6~8 (略)

   競争の導入による公共サービスの改革に関する法律(平成18年法律第51号)

 (戸籍法等の特例)

第34条 (略)

2 (略)

3 地方公共団体は、第23条において準用する第20条第1項の契約(以下この条において単に「契約」という。)を締結しようとするときは、あらかじめ、当該地方公共団体の議会の議決を経なければならない。

4~9 (略)

第9条の2第6項

「前条第6項及び第7項の規定は、前項の規定による届出があつた市町村の境界の決定にこれを準用する。」

 →「前条第6項及び第7項の規定は、前項の規定による届出を受理した場合に準用する。」

(コメント)

 第9条第6項・第7項の規定は、届出はあった場合の手続の規定であるから、そうした表記にすることが適当

 第9条第7項の「前項」は「次条第6項において準用する前項」と読み替えたいところだが、同条第6項の「前項」は必ずしも読み替える必要はないので、あえて読み替えないこととした。

(参照条文)

   地方自治法

第9条 (略)

②~⑤ (略)

⑥ 前項の規定による届出を受理したとき、又は第10項の規定による通知があつたときは、総務大臣は、直ちにその旨を告示するとともに、これを国の関係行政機関の長に通知しなければならない。

⑦ 前項の規定による告示があつたときは、関係市町村の境界について第7条第1項又は第3項及び第7項の規定による処分があつたものとみなし、これらの処分の効力は、当該告示により生ずる。

⑧~⑪ (略)

第9条の2 (略)

②~④ (略)

⑤ 第1項の規定による決定が確定したときは、都道府県知事は、直ちにその旨を総務大臣に届け出なければならない。

⑥ (略)