自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

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次条は枝条を指さないのか

 会社法第202条第1項第1号の規定にある「次条」が、同法第202条の2ではなく、同法第203条を指していると思われることについて、「次条」という表記は枝条を指さないのかといったツイートを拝見した。

 関係する規定は、次のとおりである。

 (株主に株式の割当てを受ける権利を与える場合)

第202条 株式会社は、第199条第1項の募集において、株主に株式の割当てを受ける権利を与えることができる。この場合においては、募集事項のほか、次に掲げる事項を定めなければならない。

 (1) 株主に対し、次条第2項の申込みをすることにより当該株式会社の募集株式(種類株式発行会社にあっては、当該株主の有する種類の株式と同一の種類のもの)の割当てを受ける権利を与える旨

 (2) 前号の募集株式の引受けの申込みの期日

2~5 (略)

  (取締役の報酬等に係る募集事項の決定の特則)

第202条の2 (略)

2 前項各号に掲げる事項を定めた場合における第199条第2項の規定の適用については、同項中「前項各号」とあるのは、「前項各号(第2号及び第4号を除く。)及び第202条の2第1項各号」とする。この場合においては、第200条及び前条の規定は、適用しない。

3 (略)

 (募集株式の申込み)

第203条 (略)

2 第199条第1項の募集に応じて募集株式の引受けの申込みをする者は、次に掲げる事項を記載した書面を株式会社に交付しなければならない。

 (1) 申込みをする者の氏名又は名称及び住所

 (2) 引き受けようとする募集株式の数

3~7 (略)

 会社法第202条の2の規定は、令和元年法律第70号により追加された規定だが、その際に同法第202条第1項第1号を改正すべきだったのを失念したものだろう。

 内容自体は、大勢に影響がないミスと言えるだろうが、読む側からしても、特に枝条については、ミスがあるかもしれないという前提で見た方がいいのかもしれない。