自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

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地方自治法の規定修正案(5)~第2編第7章②

第177条第1項

普通地方公共団体の議会において次に掲げる経費を削除し又は減額する議決をしたときは、その経費及びこれに伴う収入について、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付さなければならない。」

→「……、理由を示して再議に付さなければならない。」

(コメント)

 この規定以外の規定でも、現在では「これを」を表記しないところに使用しているものがあるが、この規定は、「これを」と表記することでかえって読みにくくしてしまっているので、あえて指摘をする。

 

第179条第2項

 議会の決定すべき事件に関しては、前項の例による。

 第1項で「議会の議決すべき事件」が主語になっていないのでしっくりこない。案1のように準用で書く方法はあると思うが、案2のように第1項本文でまとめて書けばいいと思う。

(案1)

 前項の規定は、普通地方公共団体の長が行う議会の決定すべき事件の処分について準用する。この場合において、同項中「議決」とあるのは、「決定」と読み替えるものとする。

(案2)

 普通地方公共団体の議会が成立しないとき、第113条ただし書の場合においてなお会議を開くことができないとき、普通地方公共団体の長において議会の議決若しくは決定をすべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき、又は議会において議決若しくは決定をすべき事件を議決しないときは、当該普通地方公共団体の長は、その議決又は決定をすべき事件を処分することができる。

(参照条文)

   地方自治法

第179条 普通地方公共団体の議会が成立しないとき、第113条ただし書の場合においてなお会議を開くことができないとき、普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき、又は議会において議決すべき事件を議決しないときは、当該普通地方公共団体の長は、その議決すべき事件を処分することができる。ただし、第162条の規定による副知事又は副市町村長の選任の同意及び第252条の20の2第4項の規定による第252条の19第1項に規定する指定都市の総合区長の選任の同意については、この限りでない。

②~④ (略)

 

第180条の3

 普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の委員会又は委員と協議して、その補助機関である職員を、当該執行機関の事務を補助する職員若しくはこれらの執行機関の管理に属する機関の職員と兼ねさせ、若しくは当該執行機関の事務を補助する職員若しくはこれらの執行機関の管理に属する機関の職員に充て、又は当該執行機関の事務に従事させることができる。

 「当該執行機関」と「これらの執行機関」を使い分ける意味はないと思う。