自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

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地方自治法の規定修正案(4)~第2編第7章①

第142条

 普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人(当該普通地方公共団体が出資している法人で政令で定めるものを除く。)の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができない。

 「及び」と「又は(若しくは)」を使い分けているが、その理由がよく分からない。「及び(並びに)」で統一すべきだろう。

 

第149条第3号

 「地方税を賦課徴収し、分担金、使用料、加入金又は手数料を徴収し、及び過料を科すること。」

→「地方税を賦課徴収し、分担金、使用料、加入金及び手数料を徴収し、並びに過料を科すること。」

(コメント)

 これも「又は」を使う意味はないと思う。

 

第152条第1項

 普通地方公共団体の長に事故があるとき、又は長が欠けたときは、副知事又は副市町村長がその職務を代理する。この場合において副知事又は副市町村長が2人以上あるときは、あらかじめ当該普通地方公共団体の長が定めた順序、又はその定めがないときは席次の上下により、席次の上下が明らかでないときは年齢の多少により、年齢が同じであるときはくじにより定めた順序で、その職務を代理する。

 後段の文章は、「、又は」の前後にある「定めた順序」が並列になっているのだろう。そうすると、それぞれ「席次の上下により、……定めた順序」、「年齢の多少により、……定めた順序」と読むことになり、少しおかしなことになっている。そもそも、職務代理者は、その時に行う者が決まればいいわけで、あえて順序まで定める必要はないので、次のように書くことが考えられる。

 ……。この場合において副知事又は副市町村長が2人以上あるときは、あらかじめ当該普通地方公共団体の長が定めた順序でその職務を代理し、その定めがないときは席次の上位の者が、席次の上下が明らかでないときは年長者が、年齢が同じであるときはくじにより定めた者が、その職務を代理する。

 いずれにしろ、法文で細かいことを書き過ぎのように感じる。

 

第155条第1項

 普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務を分掌させるため、条例で、必要な地に、都道府県にあつては支庁(道にあつては支庁出張所を含む。以下これに同じ。)及び地方事務所、市町村にあつては支所又は出張所を設けることができる。

 これも「及び」と「又は」の使い分けがよく分からない規定。

 「支所又は出張所」→「支所及び出張所」でいいと思う。

 

第167条第1項

 「副知事及び副市町村長は、普通地方公共団体の長を補佐し、普通地方公共団体の長の命を受け政策及び企画をつかさどり、その補助機関である職員の担任する事務を監督し、別に定めるところにより、普通地方公共団体の長の職務を代理する。」

→「……、その補助機関である職員の担任する事務を監督し、並びに別に定めるところにより、普通地方公共団体の長の職務を代理する。」

(コメント)

 並列と考えざるを得ないと思う。

 

第176条第3項

 「前項の規定による議決のうち条例の制定若しくは改廃又は予算に関するものについては、出席議員の3分の2以上の者の同意がなければならない。」

→「第1項の規定により再議に付された議決は、それが条例の制定若しくは改廃又は予算に関するものである場合には、出席議員の3分の2以上の者の同意がなければならない。」

(コメント)

  • 「前項の規定による議決」では、不明確
  • 「……うち……もの」にしない方が分かりやすいと思う。

(参照条文)

  地方自治法

第176条 普通地方公共団体の議会の議決について異議があるときは、当該普通地方公共団体の長は、この法律に特別の定めがあるものを除くほか、その議決の日(条例の制定若しくは改廃又は予算に関する議決については、その送付を受けた日)から10日以内に理由を示してこれを再議に付することができる。

② 前項の規定による議会の議決が再議に付された議決と同じ議決であるときは、その議決は、確定する。

③~⑧ (略)