1 条例の内容による分類
条例の分類は、例規集においては他の規則等の例規とともに行政分野別になされているのが通例である。例えば兼子仁ほか『政策法務辞典』(P110~)では、まちづくり、福祉、安全・安心、地域環境、地域経済、人権・コンプライアンスの6分野に分類している。
他方、条例の立案という観点からすると、性質別の分類が重要となってくる。例えば、法制執務・政策法務における書籍では、次のように分類している。
書籍 | 分類内容 |
---|---|
林修三『例解立法技術』(P84~) | 事業取締法規、助成法規、資格付与法規 |
大島稔彦『法令起案マニュアル』(P243~) | 規制的手法、経済的誘導、社会的給付、特定の者の認定・指定等の制度、情報の提供、行政計画、機関・組織、資金の調達 |
兼子ほか前掲書(P208~) | 規制型条例、誘導型条例、理念型条例 |
宇那木正寛『自治体政策立案入門』(P168~) | 規制的手法、義務設定手法、許可手法、届出手法、啓発的手法、補助金手法、経済的ディスインセンティブを与える手法、計画手法、住民参加手法、説明会手法、協定手法、同意手法、紛争調停手法、認証手法 |
上記の林前掲書と兼子ほか前掲書の分類は、行政が行う施策に係る法規におけるものである。このうち、林前掲書の分類は、立法技術の紹介という見地から著者が適当と考える分類であり、条例の内容により分類するのであれば、兼子ほか前掲書の分類に親和性がある。
また、大島前掲書及び宇那木前掲書の分類は、法規の内容を網羅的に捉えているが、政策手法という点に着目したものであるため、条例という単位でその内容を分類するのであれば、もう少しグルーピングした方が分かりやすいように思う。
以上により、私は、次のような分類が適当と考える。
(1) 施策条例
自治体の対外的な施策について定める条例であり。その内容に応じ、次のように分類する*1。
ア 規制条例
イ 誘導条例
ウ 給付条例
エ 理念条例(プログラム条例。基本条例が代表例)
(2) 事務処理条例
自治体の事務処理について定める条例。行政手続条例、情報公開条例、個人情報保護条例など
(3) 組織条例
自治体の組織について定める条例。部設置条例が代表例だが、公の施設設置条例もこの分類に含まれる。