自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

例規審査事務経験のある地方公務員のブログ。https://twitter.com/hotiak1

条例の分類(下)

2 法律との関係による分類

 条例について考える場合、法律との関係を抜きにすることはできない。第一次地方分権前は、公共事務条例、委任事務条例、行政事務条例の3つに分類することが一般的であった(例えば秋田周『条例と規則』P88~)。第一次地方分権後は、北村喜宣教授がその法制化における条例制定権について精緻な検討をしており、その著書『分権改革と条例』において、法律に基づく条例(広義)と法律に基づかない条例の2つに大きく分類し、前者を法律の委任に基づく条例と法律に基づく条例(狭義)の2つに分類している(P2~)。法律に基づく条例(狭義)という意味は分かりにくいが、北村教授は、その例として自然環境保全法第45条第1項の規定などを挙げている(P14~)。

 北村教授は、地方分権後の条例の在り方という点を特に意識して分類していると思われるが、そうした観点をあまり強調しないのであれば、次のように分類できるだろう。

 (1) 自主条例

  自治体独自の条例

  (2) 委任等条例

  具体的な法律の委任規定に基づくもののほか、上乗せ・横出し条例などもここに分類する。

  (3) 国法準拠条例

  国法の内容を参考に、それに準拠した内容を規定するもの。行政手続条例、情報公開条例など

 3 条例の分類とその立案

 以上のとおり、条例の内容と法律との関係による分類を試みたが、条例の内容による分類における組織条例及び事務処理条例、それから法律との関係による分類における委任等条例及び国法準拠条例は、一般的にはパターン化しており、一定の政策判断は必要となるが、立法技術的にはそれほど難しいことはない。

 立法政策上及び立法技術上十分に検討することが必要になるのは、条例の内容による分類における施策条例及び法律との関係による分類における自主条例である。したがって、条例の立案の手法を考えていく上で特に念頭に置くべきものは、自主条例であり、かつ、施策条例であるものということになる。