自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

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法律と条例の関係~高知市普通河川等管理条例事件判決から

 法律と条例の関係について判断した判例として、最高裁昭和53年12月21日判決(高知市普通河川等管理条例事件判決)がある。

 この判決は、普通河川について、河川法より厳しい規制を行うことを違法とした判決である。違法とした理由は、普通河川であっても、適用河川又は準用河川として指定することにより同法の適用又は準用の途が開かれていることを挙げている。

 この判決に対しては、概ね批判的な見解が多いようである*1。例えば、宇那木正寛『自治体政策立案入門』(P105)は、次のように記載している。

 河川管理が機関委任事務から法定受託事務となった現在、地域における規制の必要性が存在し、その規制内容が比例原則に反しないものであれば、河川法に反しないと解するべきであろう。

 この見解について、石毛正純『自治立法綱要』(P185)は、一般的な法適合性の基準といえるとしつつ、次のように記載している。

 河川法についていえば、普通河川は全国に様々な形態で多数あり、このため国は、国有地でありながらその管理を市町村の固有事務としていたのであるから、同法が地域的規制を排除する理由はなく、条例による上乗せ規制(内容が比例原則に反しないもの)を許容すると解される。

 以上によれば、地域的事情から規制を行う必要があり、それが必要最小限の規制であれば条例を制定することが可能であると言うことができると思われる。

*1:磯部力ほか『地方自治判例百選(第4版)』(P59)参照