自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

例規審査事務経験のある地方公務員のブログ。https://twitter.com/hotiak1

第2次分権改革の評価(1)

 最近、学者等による第2次地方分権改革の評価を耳にすることがあるが、それは、条例事項とされた項目は些末なものであり、その意義は限定的なものであるというのが一般的のようである。

 旧ブログにおいて、特に個別の事項を取り上げて感想を記載しているが、第1次一括法から第3次一括法までに係る条例対応を経験した立場から改めて11回にわたりまとめておくこととしたい。

 <「自治体法制執務雑感」関連記事>

  • 2012年6月30日付け記事「第2期地方分権改革に係る一括法における経過規定」
  • 2012年9月2日付け記事「義務付け・枠付けの存置を許容する場合のメルクマール」
  • 2012年9月9日付け記事「一括法で委任された事項に関する雑感(1)~指定猟法区域等の標識の寸法」
  • 2012年9月15日付け記事「一括法で委任された事項に関する雑感(2)~指定介護療養型医療施設
  • 2012年9月29日付け記事「一括法で委任された事項に関する雑感(3)~基準該当通所支援」
  • 2013年9月28日付け記事「一括法で委任された事項に関する雑感(4)~社会福祉の分野における最低基準の制定権限の移譲」
  • 2012年12月29日付け記事「義務付け・枠付けの見直しに関する条例における規則への委任」
  • 2013年11月30日付け記事「一括法で委任された事項に関する雑感(5)~風致地区に係る条例の制定権限の移譲」
  • 2014年3月1日付け記事「一括法で委任された事項に関する雑感(6)~地方独立行政法人が返還すべき重要な財産(上)
  • 2014年3月8日付け記事「一括法で委任された事項に関する雑感(6)~地方独立行政法人が返還すべき重要な財産(下)」
  • 2014年4月12日付け記事「一括法で委任された事項に関する雑感(7)~指定障害者福祉サービスの基準の改正に伴う経過措置」

 1 はじめに

 第2次分権改革は、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」*1という名称の法律が2011年5月に公布されて以来、昨年6月に公布されるまで第8次にわたり一連の法律改正がなされている。

 第2次分権改革は、第1次分権改革で残された課題を解決するべく、2006年に地方分権改革推進法が制定され、地方分権改革推進委員会の下で、国の法令による義務付け・枠付けの見直し等について検討が行われ、同委員会からなされた勧告に基づき、政府において所要の手続がなされた後、関係法律の整備がなされた。その後、2014年から提案募集方式が導入され、2015年6月に公布された第5次一括法からは自治体からの提案等に基づき関係法律の整備がなされている。

 私は、第1次一括法から第3次一括法までに係る条例対応に関わったが、当時、作業をしたという満足感はあったが、振り返ってみるとどの程度意義があったのか疑問を感じたところである。そのため、全体的に批判的になってしまうのだが、第2次分権改革の評価を行ってみることとする。

*1:この法律は、第1次分権改革と区別するためと思われるが、当初は「第○次一括法」と言われていたが、現在は「第○次地方分権一括法」と呼んでいるようである。ここでは、便宜上旧来の「第○次一括法」という名称を用いることとする。