自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

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第2次分権改革の評価(2)

2 第2次分権改革の内容

 第2次分権改革において自治体の条例制定に特に関係する事項は、施設・公物の設置管理基準に係る義務付け・枠付けの見直しである。これに対する自治体の対応方法として、地方分権改革推進委員会は、当初は国の法令の上書き(書き換え)も想定していたのだが、結果的には国の基準を「従うべき基準」、「標準」、「参酌すべき基準」に類型化するという上書きとは到底言えないものとしてしまった。もしも国の基準を自治体が必要に応じ書き換えることができるのであれば、その基準を全て条例化する必要はなかったことになる。

 そして、この国の対応は、一括法における施設・公物の設置管理基準の条例委任の際に次の経過規定を置いたこととも整合しない。

第○条の規定の施行の日から起算して1年を超えない期間内において、新○○法第○条に規定する……の条例が制定施行されるまでの間は、同条の○○省令で定める基準は、当該……の条例で定める基準とみなす。

 つまり、条例を策定するための基準となる省令を、一定期間とはいえそのまま条例で定める基準とみなすのであれば、必要に応じ条例で書き換えをするようにすればよいのであり、そうすれば、コピー型、リンク型といった言葉が生まれることもなかっただろう。

 基準策定の条例委任ということであれば、基準となる省令を整備する時期を法に明記し、その日から1年後を法の施行日とするのが本来の在り方であっただろう。