自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

例規審査事務経験のある地方公務員のブログ。https://twitter.com/hotiak1

「同一の行為」

 私は、次の地方自治法第92条の2の規定に一読しただけでは意味がよく分からない部分がある。

(議員の兼業禁止)

第92条の2 普通地方公共団体の議会の議員は、当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができない。

 よく分からないのは、太字の「同一の行為」が何を指しているかである。

 上記の「主として同一の行為をする法人」とは、「当該普通地方公共団体に対する請負が、当該法人の業務の主要部分を占め、当該請負の重要度が長の職務執行の公正、適正を損なうおそれが類型的に高いと認められる程度に至っている場合の当該法人の意である」と解されている(松本英明『新版逐条地方自治法(第4次改訂版)』(P325))。そうすると、「同一の行為」とは、当該普通地方公共団体に対する請負のことなのだから、単に「当該請負」とした方がかなり分かりやすくなると思うのだが。