(4) 協議会
近時の法令では、協議会という名称の会議体が多く存している。平成27年6月25日大阪高裁判決で対象とされているものの中にも協議会という名称を付したものがある。
法定の協議会について、北村喜宣教授は、「空家等対策の推進に関する特別措置法」第7条の規定による協議会を附属機関であると解している*1。しかし、次のとおり、協議会の性格は、一様ではなく、その性格に応じて附属機関と位置づけるべきかどうか決していくことになるのではないだろうか。
<例1>
農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律(平成25年法律第81号)
(協議会)
第6条 基本計画を作成しようとする市町村は、基本計画の作成及びその実施に関し必要な事項について協議を行うための協議会(以下この条において「協議会」という。)を組織することができる。
2~4 (略)
<例2>
都市の低炭素化の促進に関する法律(平成24年法律第84号)
(低炭素まちづくり協議会)
第8条 市町村は、低炭素まちづくり計画の作成に関する協議及び低炭素まちづくり計画の実施に係る連絡調整を行うための協議会(以下この条において「協議会」という。)を組織することができる。
2~4 (略)
<例3>
いじめ防止対策推進法 (平成25年法律第71号)
(いじめ問題対策連絡協議会)
第14条 地方公共団体は、いじめの防止等に関係する機関及び団体の連携を図るため、条例の定めるところにより、学校、教育委員会、児童相談所、法務局又は地方法務局、都道府県警察その他の関係者により構成されるいじめ問題対策連絡協議会を置くことができる。
2・3 (略)
<例4>
消費者教育の推進に関する法律 (平成24年法律第61号)
(消費者教育推進地域協議会)
第20条 都道府県及び市町村は、その都道府県又は市町村の区域における消費者教育を推進するため、消費者、消費者団体、事業者、事業者団体、教育関係者、消費生活センターその他の当該都道府県又は市町村の関係機関等をもって構成する消費者教育推進地域協議会を組織するよう努めなければならない。
2 消費者教育推進地域協議会は、次に掲げる事務を行うものとする。
(1) 当該都道府県又は市町村の区域における消費者教育の総合的、体系的かつ効果的な推進に関して消費者教育推進地域協議会の構成員相互の情報の交換及び調整を行うこと。
(2) 都道府県又は市町村が都道府県消費者教育推進計画又は市町村消費者教育推進計画を作成し、又は変更しようとする場合においては、当該都道府県消費者教育推進計画又は市町村消費者教育推進計画の作成又は変更に関して意見を述べること。
3 (略)
<例5>
東日本大震災における原子力発電所の事故による災害に対処するための避難住民に係る事務処理の特例及び住所移転者に係る措置に関する法律(平成23年法律第98号)
(住所移転者協議会)
第12条 指定市町村は、条例で定めるところにより、住所移転者協議会を置くことができる。
2~4 (略)
5 住所移転者協議会は、前条第1項から第3項までに定める施策に関する事項のうち、指定市町村の長その他の機関により諮問されたもの又は必要と認めるものについて、審議し、指定市町村の長その他の機関に意見を述べることができる。
6・7 (略)
例4と例5は、協議会として意見を述べることができることとされているため、附属機関と解することになる*2。
協議会として典型的なものは、例1と例2であり、例3も同様のものと言っていいだろう。
例3は、設置に当たっては条例を制定することを求めているため、附属機関と考えているのだろうが、単に連携を図るための会議体であれば、あえて附属機関と考える必要はないと思われる。
協議会については、大橋洋一教授は、利害調整の手法であり、協議結果の尊重が規定される例も少なくないとしているが*3、協議結果という結論を出すことを想定している会議体であれば、附属機関と考えざるを得ないのだろう。