自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

例規審査事務経験のある地方公務員のブログ。https://twitter.com/hotiak1

相談事項への対応

 Xを見ていると、多くの法規担当の皆様が原課等からの相談対応に苦慮されていることがうかがえます。

 私自身は、それほど多くの相談を受けたという感覚はないのですが、担当だった頃は世間的には改革派と言われていた首長だった時期であり、「首長にこう言われているけど、大丈夫だろうか」といった相談を受けることが度々ありました。

 そのときに行っていたのは、ダメ出しをするときは、上司と相談することはもちろんですが、その理由を必ず紙に書いて相手に渡すようにしていました。これは、多分に自己保身的な意味もあるのですが、誤解を生まない最良の方法だと思っています。結果として、その結論に対して何か文句を言われるようなことはなかったと思います。

 なお、当時は、組織全体の雰囲気のようなものを考慮して、できるだけ「〇」にする方向で理屈を考えていたことも事実です。したがって、中にはダメだと言って欲しくて相談に来る職員もいたのですが(むしろその方が多かったかもしれません)、「いいと言われるとは思わなかった」と言ってがっかりして帰っていく人もいました。

 個人的には、首長は変わったことをやりたいのか、また、物事を安全に進めたいのか、そのときの状況に応じて、法規としての判断もそれに寄り添ったものとすることは必要なことだと思っています。しかし、ベースとなる考え方は一貫しているべきで、人によって対応を変えるといった態度は信用を無くすことになり、得なことは何もないでしょう。