自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

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号に複数の事項を規定する場合の柱書きの表記

 次の規定は、「船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律(平成30年法律第61号)」第14条の規定である。

(死亡等による許可の失効)

第14条 前条第5項の規定によるほか、再資源化解体業者が次の各号のいずれかに該当することとなった場合においては、第10条第1項の許可は、その効力を失う。この場合において、当該各号に定める者は、当該各号に該当することとなった日から30日以内に、その旨を主務大臣に届け出なければならない。

 (1) 死亡した場合 その相続人

 (2) 法人が破産手続開始の決定により解散した場合 その破産管財人

 (3) 法人が合併及び破産手続開始の決定以外の事由により解散した場合 その清算

 (4) 特定船舶の再資源化解体の業務を廃止した場合 再資源化解体業者であった個人又は再資源化解体業者であった法人を代表する役員

 太字の部分の意図するところは、例えば第1号であれば、再資源化解体業者が死亡した場合は、その相続人は、その死亡した日から30日以内に届け出ろということは明らかではある。しかし、「当該各号に該当することとなった日から」が何を表すのか必ずしも明確でなく、また、太字のように書くのであれば、なぜ号に規定している事項の前後を入れ替えなかったのかよく分からない。

 号に規定している事項の前後を入れ替えるのであれば、その最初の事項を示すときは「当該各号に掲げる……」と表記するのが一般的であるため、太字の部分は「当該各号に掲げる者は、当該各号に定める場合に該当することとなった日から」とすればいいような感じがする。

 号の記載をそのままにするのであれば、太字の部分は、「当該各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者は、当該各号に掲げる場合に該当することとなった日から」とすることになるだろう。