自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

例規審査事務経験のある地方公務員のブログ。https://twitter.com/hotiak1

経過規定(4)

((2)「経過措置が必要な項目を具体的に拾い出すこと」についての続き)

  前回の例2について具体的にどのように書くかであるが、前回記載した1から7までに該当するケースが限定されるのであれば、当該ケースごとに具体的に書いていけばいいことになる。

 1から7までの全てのケースを網羅する経過規定とするには、助役又は収入役であった場合も従前と同様に表彰対象とし、かつ、その後市長とか副市長になった場合に助役又は収入役としての在職期間を通算することができるようにすることになる。

 一番簡単に書くとすると、次のようになるだろう。

<例3>

 (経過措置)

2 助役又は収入役として在職した者に対するこの規則による改正後の△△規則第3条及び別表の規定の適用については、同条中「副市長」とあるのは「副市長、助役、収入役」と、同表中‥‥(必要な読替え)‥‥とする。

  これに対し、地方自治法の改正が、助役に代えて副市長を置くこととし、収入役を廃止するものであることであるから、それにこだわって書こうとすると、助役は副市長とみなし、収入役も従来どおり表彰対象にするという感じになるであろうから、次のように書くことになるかと思う。

<例4>

 (経過措置)

2 助役として在職した者の当該在職期間は、この規則による改正後の△△規則(次項において「新規則」という。)第3条及び別表の規定の適用については、副市長としての在職期間とみなす。

3 収入役として在職した者に対する新規則第3条及び別表の規定の適用については、同条中「副市長」とあるのは「副市長、収入役」と、同表中‥‥(必要な読替え)‥‥とする。

  ただ、1のケースは、あくまでも助役に在職したことについて表彰するというのが素直であろうし、収入役に係る規定とのバランスからしても、例4はこだわり過ぎといった感じはする。

 なお余談だが、規則自体の書き方として、例1よりも例2の方がきちんと書いていて良いと思ったかもしれないが、きちんと書いたことにより後のフォローが大変で、必ずしも良いとはいえないことが分かると思う。もちろん、事案によっては詳細に定めなければいけないこともあるのだが、改正することも考えて(さらに他の人が担当することも考えて)、どの程度書くか考えなければいけないことを感じさせてくれる例でもあると思う。