『自治実務セミナー(2020年9月)』に次のような文章が掲載されていた。
……もう少し慣れたら、主語と述語が一致しているかをチェックしてみてください。審議会に関する例規案の中で、「会議は、委員長が招集し、議長となる」という案文をしばしば目にします。主語と述語の間の「、委員長が招集し」を取り払ってみてください。「会議は、議長となる」と、主語と述語が一致しておらず、誤っていることが分かります(この場合、「議長」の前に「その」を加え、「会議は、委員長が招集し、その議長となる」とするのが一般的です)。
上記の表現が一般的かどうか私は知らないが、「会議は、委員長が招集し、議長となる」という文章の「議長となる」には「委員長が」という言葉がかかっているので、「委員長が招集し」を取り払うのでなく、「会議は、委員長が……議長となる」という文章が良いか悪いか検証するべきだろう。
そこで「議長」の前に「その」を加えるのであれば、「会議は、委員長が……その議長となる」ということになるが、この「その」は「会議」を指すことになるので、「会議は、委員長が……会議の議長となる」という文章となり、結果として「その」を補っても適切な文章にはならないことになる。
仮に会議の招集とその議長について一文で書くのであれば、「会議」を主語にするのは無理であり、委員長を主語にして「委員長は、会議を招集し、その議長となる」とせざるを得ないと思うが、スタンダードな書き方は、次のように会議の招集とその議長については一文にせず、項を分けて書くなど別々の文章にするのではないだろうか。
日本年金機構法(平成19年法律第109号)
(理事会の会議)
第11条 理事会は、理事長が招集する。
2 理事長は、理事会の議長となり、会務を総理する。
3・4 (略)