自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

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定義規定(3)

  ウ 目的規定で使用されている用語

 次の規定は、「金融機関等が行う特定金融取引の一括清算に関する法律(平成10年法律第108号)」の定義規定である。

(定義)

第2条 この法律において「特定金融取引」とは、金利、通貨の価格、有価証券市場における相場その他の指標に係る変動、市場間の格差等(以下この項において「金利変動等」という。)に基づいて算出される金銭の授受を約する取引その他の金利変動等を利用して行われる取引のうち、証券取引法(昭和23年法律第25号)第2条第8項第3号の2に規定する有価証券店頭デリバティブ取引その他の内閣府令で定めるものをいう。

2 この法律において「金融機関等」とは、次に掲げる法人をいう。

(1) 銀行法(昭和56年法律第59号)第2条第1項に規定する銀行又は長期信用銀行法(昭和27年法律第187号)第2条に規定する長期信用銀行

(2) 証券取引法第2条第9項に規定する証券会社又は外国証券業者に関する法律(昭和46年法律第5号)第2条第2号に掲げる外国証券会社

(3) その他我が国の法令により営業若しくは事業の免許、登録等を受けている法人又は特別の法律により設立された法人であって、自己又は顧客の計算において特定金融取引を相当の規模で行うものとして政令で定めるもの

3 この法律において「破産手続等」とは、破産手続、再生手続又は更生手続をいう。

4 この法律において「一括清算事由」とは、破産手続開始、再生手続開始又は更生手続開始の申立てをいう。

5 この法律において「基本契約書」とは、特定金融取引を行おうとする金融機関等とその相手方との間において二以上の特定金融取引を継続して行うために作成される契約書で、契約の当事者間において行われる特定金融取引に係る債務についてその履行の方法その他当該特定金融取引に関する基本的事項を定めるものをいう。

6 この法律において「一括清算」とは、基本契約書に基づき特定金融取引を行っている当事者の一方に一括清算事由が生じた場合には、当該当事者の双方の意思にかかわらず、当該一括清算事由が生じた時において、当該基本契約書に基づいて行われているすべての特定金融取引についてその時における当該特定金融取引のそれぞれにつき内閣府令で定めるところにより算出した評価額を合算して得られる純合計額が、当該当事者間における一の債権又は一の債務となることをいう。 

  この法律第1条の目的規定は「金融機関等が行う特定金融取引の一括清算についての破産手続等における取扱いを確定することにより‥‥」としており、そこで使用されている用語を定義している。目的規定で使用される用語は、当然キーワードであると言えるだろう。