自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

例規審査事務経験のある地方公務員のブログ。https://twitter.com/hotiak1

定義規定(1)

 今回から12回にわたり定義規定について取り上げる。私が用語の定義で特に悩んだのは、目的規定の次の第2条辺りに置く「定義規定」の中で定義すべきか、当該用語の初出の箇所で定義すべきかという点である。また、具体的な定義規定についても旧ブログで幾つか掲載してきたので、それらをまとめておくこととしたい。

<「自治体法制執務雑感」関連記事>

  • 2007年2月17日付け記事「定義規定を置く場所」
  • 2007年3月31日付け記事「定義規定に規定する用語(1)」
  • 2007年4月1日付け記事「定義規定に規定する用語(2)」
  • 2007年4月7日付け記事「定義規定に規定する用語(3)」
  • 2007年4月14日付け記事「定義規定に規定する用語(4)」
  • 2012年6月23日付け記事「定義規定を項で書く場合と号で書く場合の基準」
  • 2013年11月9日付け記事「用語を定義するかしないか(上)」
  • 2013年11月16日付け記事「用語を定義するかしないか(下)」
  • 2016年11月12日付け記事「定義規定を準用する規定」

1 「定義規定」に規定する用語

 (1) はじめに

 定義規定というものは、定義する用語の初出の箇所で括弧を用いて書かない限り、第2条辺りにまとめて置くものだと考えがちである。実際、条数の少ない短文の法律であっても第2条に定義規定を置くものは相当数あり、平成18年12月1日現在のデータになるが、10条以下の法律で89本、5条以下の法律だと22本(3条:6本、4条:7本、5条:9本)であった*1

 ところで、どのような用語を定義規定で定義するのかについては、法制執務研究会『新訂ワークブック法制執務(第2版)』(P87)では、次のように記載されている。

 法令の内容が複雑であり、かつ、その法令において、その用語が重要な意義を有する場合、あるいはその用語の用いられる度数が比較的多い場合には、……定義のための規定が設けられ、その他の場合には、……法令の規定中で括弧を用いて定義することとするのが普通である。

 しかし、実際には、どの用語を定義規定に置いて、どの用語を条文の中で括弧を用いて書くかの判断に迷うことが結構あった。そこで、5条以下の条数の法律で、定義規定でどのような用語が定義されているのか見てみることで、どのような用語を定義規定で定義するかについて、一つの考え方を提示することを試みる。

*1:総務省法令データ提供システムによる。なお、目的規定等がなく第1条が定義規定になっているものや、第2条が解釈規定等になっていて第3条以下に定義規定があるものを含めている。