自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

例規審査事務経験のある地方公務員のブログ。https://twitter.com/hotiak1

新型コロナウイルス対策条例を制定するのであれば

 新型コロナウイルス対策については、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言は解除されたものの、東京都を中心に感染者が増加し、経済活動との両立が模索されている中でどのように行っていくのか難しい局面に入っているように思われる。

 自治体においては、法を補うなどの意図から条例を制定する例も散見されるが、法によって対応が可能であり、新たに規制を規定する条例は必要ないと判断している自治体もあるようである。

 私は、新型コロナウイルス対策に直接関わっているわけではないので、その問題点について本質的な理解が十分できているとは言えないが、規制的な措置については、現行法でかなりの内容を講ずることができると思われる。ただ、報道等で見聞する限りでは、感染経路を特定するために苦慮している面があるということであり、そのためには次のような事項を定める条例を定めるのであれば意義があるのではないかと感じている。

  1. 施設等に対し、利用者の氏名等の把握の義務付け
  2. 感染経路を特定するための調査権限の行政機関への付与。その対象は、施設等のほか、感染者も加える。
  3. 上記1及び2に対する罰則規定

  かなり批判を受けることも予想できるが、ウイルスの特性も解明されつつある現在の状況であれば、対象を限定して運用することは可能であり、必要に応じ罰則付きの守秘義務を規定することで効果的な措置を講ずることができるのではないかと感じる。