自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

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目的規定(10)

4 特異な目的規定の例

 通常の目的規定とは一風変わっている規定を3つ掲げる。

 (1) 定義規定を第2項においている例

   2005年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法(平成14年法律第19号)

 (目的等)

第1条 この法律は、平成17年に開催される2005年日本国際博覧会に関し、国際博覧会条約第12条の規定に基づく政府代表の設置及びその任務、給与等について定めることを目的とする。

2 この法律において「国際博覧会条約」とは、1988年5月31日に総会において採択された1928年11月22日の国際博覧会に関する条約(1948年5月10日、1966年11月16日及び1972年11月30日の議定書並びに1982年6月24日の改正によって改正され及び補足されたもの)の改正による改正前の1928年11月22日にパリで署名され、1948年5月10日、1966年11月16日及び1972年11月30日の議定書並びに1982年6月24日の改正によって改正され及び補足された国際博覧会に関する条約をいう。

 (2) 目的規定で各号を用いている例

   平成13年9月11日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法(平成13年法律第113号)

 (目的)

第1条 この法律は、平成13年9月11日にアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃(以下「テロ攻撃」という。)が国際連合安全保障理事会決議第1368号において国際の平和及び安全に対する脅威と認められたことを踏まえ、あわせて、同理事会決議第1267号、第1269号、第1333号その他の同理事会決議が、国際的なテロリズムの行為を非難し、国際連合のすべての加盟国に対しその防止等のために適切な措置をとることを求めていることにかんがみ、我が国が国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取組に積極的かつ主体的に寄与するため、次に掲げる事項を定め、もって我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に資することを目的とする。

 (1) テロ攻撃によってもたらされている脅威の除去に努めることにより国際連合憲章の目的の達成に寄与するアメリカ合衆国その他の外国の軍隊その他これに類する組織(以下「諸外国の軍隊等」という。)の活動に対して我が国が実施する措置、その実施の手続その他の必要な事項

 (2) 国際連合の総会、安全保障理事会若しくは経済社会理事会が行う決議又は国際連合国際連合の総会によって設立された機関若しくは国際連合の専門機関若しくは国際移住機関(以下「国際連合等」という。)が行う要請に基づき、我が国が人道的精神に基づいて実施する措置、その実施の手続その他の必要な事項

 (3) 第1条で目的規定とともに他の法令との関係を規定している例

   独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)

 (目的等)

第1条 この法律は、独立行政法人の運営の基本その他の制度の基本となる共通の事項を定め、各独立行政法人の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定める法律(以下「個別法」という。)と相まって、独立行政法人制度の確立並びに独立行政法人が公共上の見地から行う事務及び事業の確実な実施を図り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資することを目的とする。

2 各独立行政法人の組織、運営及び管理については、個別法に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。

    ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成13年法律第65号)

 (目的等)

第1条 この法律は、ポリ塩化ビフェニルが難分解性の性状を有し、かつ、人の健康及び生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物質であること並びに我が国においてポリ塩化ビフェニル廃棄物が長期にわたり処分されていない状況にあることにかんがみ、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の保管、処分等について必要な規制等を行うとともに、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理のための必要な体制を速やかに整備することにより、その確実かつ適正な処理を推進し、もって国民の健康の保護及び生活環境の保全を図ることを目的とする。

2 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理については、この法律に定めるもののほか、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「廃棄物処理法」という。)の定めるところによる。