自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2

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職務専念義務

公用メールで送別会の案内、大阪府が職員処分へ

6月に退職した大阪府幹部の送別会について、職員が公用メールで案内状を送っていたことがわかった。同僚から集めた記念品の代金保管も職場でしていた。いずれも内規違反として、府は近く関係者を処分する。

 府によると、案内状は7月1日付で、総務部と財務部の幹部名で同僚らに公用メールで送信された。大阪市で7月26日に開くとし、会費は6,000円で、出席しない人から記念品代(500円)のみの支払いも受け付けると記していた。

 府は、公用メールの私的利用を禁じている。勤務中に送受信されたメールもあることから、職務専念義務違反の可能性もある。

読売新聞7月27日配信

 上記の事案は、結局のところ処分しないとの判断がなされたことにより、一昔前の出来事だったような感じもするが、上記の報道では特に公用メールの私的利用を問題視しているのに対し、職務専念義務違反を問題視する報道も存したところである。

 職務専念義務違反について厳しい判断をしている裁判例として思い出すのは、勤務時間中に組合活動としてリボンを着用していたことを理由としてなされた処分を適法とした札幌高裁昭和48年5月29日判決である。しかし、この判例を改めて確認してみると、一般の公務員ではなく、旧国鉄職員に関する事例である。そして、「被服類には腕章、キ章及び服飾類を着用してはならない」という服装規程に違反していることも問題視しており、一つの事例判断に過ぎないと考えるべきであって、一般的に参考とすべき事案とは言えないのではないだろうか。

 思うに、職務専念義務を厳しく捉える考え方は、戦前の公務員には親和的であっても、現代はそのまま妥当するものではない。極端に考えると、ちょっとした雑談やトイレへ行くことまで問題視することなり、当該行為の態様、時間等を勘案して常識的に判断するべきだろう。そうすると、上記のような事案は、送別会の準備に専念していたような事情があればともかく、通常であれば、職務専念義務に違反するとまでは言えないのではないかと思う。